経営者がいま考えるべき4つのマクロ的視点
こうしたオフィスの在り方も含めて、「より豊かに働く」環境を構築するため、スチールケースでは経営者が考えるべき4つのマクロ的視点を挙げている。これらは一過性ではなく、恒久的な課題としてとらえなければならない。
1つ目は「安全・安心」。今後のオフィス設計ではウイルスの感染拡大防止策が必須になる。「密集度」を低くするとともに、家具の向きなどの「規則性」の変更、パーテーションによる空間の「分割」といった対策が求められる。
2つ目は「生産性」。この点に関して従業員が望んでいるのは、「創発的なコラボレーション」「ツールと情報システムへのより簡単なアクセス」「集中力」だ。そのため、効率的なオフィス設計には「個人ワーク」と「チームの協働」の両方に簡単に切り替えられるスペースが必要不可欠となる。
3つ目は「柔軟性」。利用目的や人員の増減に応じてスペースを再構成できるように家具やディスプレーなどは可動式とする。従業員がさまざまな場所に分散しながら働くことも考え、リアルとネット(デジタル)のシームレスな融合も重要だ。
最後は「一体感(コミュニティ意識)」。従業員がオフィス勤務を望む最大の理由は「同僚とのつながり」と「目的意識の共有」で、これらは組織力を強化する要素の一つだ。計画的・偶発的な出会いや交流の「場」をオフィスに設けることで、思いもかけない発見やアイデア創出につながり、それが企業成長の糧になることを心得ておきたい。
一方、これからのオフィス設計の必須ポイントが図表2だ。狙いは、個人とチームの両ワークを柔軟にサポートし、安全・安心でクリエーティブなオフィス環境を提供すること。ひいてはそれが危機に強く競争力のある組織づくりにつながる。
このような「より豊かに働く」環境づくりに向けて、日本スチールケースは欧米での事例やノウハウを活用しながら、アンケートやワークショップによる調査・分析を基に、各企業に最適なオフィス環境を提案している。従業員の働き方への意識が変化したいまこそ、経営者は従来のオフィスの在り方を見直し、4つのマクロ的視点を参考に戦略的なオフィスに改革すべきだ。