研究の概要
ケンブリッジ大学ジャッジ・ビジネススクール上級講師のユェン・ジュン・キムとオハイオ州立大学博士課程のジュンファ・キムは、ある韓国の健康食品企業においてフィールド実験を行った。同社の製品開発担当者は、四半期評価でフィードバックを受けるが、実験はそのフィードバックについて、上司によるトップダウン型、部下によるボトムアップ型、同僚による横方向型の違いを見極めるものだった。2カ月後、フィールド実験の被験者の上司たちに、被験者である部下が実験後2カ月間に示した創造性を評価してもらった。その結果を調べたところ、上司または同僚の社員から否定的な評価を受けた場合、創造性のレベルは低かったが、部下から批判を受けた場合、創造性は高いレベルを示していたことがわかった。
キムらはこの結果から、「部下からの批判は上司の創造性を高める」と結論付けた。ユェン・ジュン・キム講師にこの結果を論じてもらった。以下はその要約である。
批判されて脅威と感じるか
問題を発見し課題に取り組むか

キム(以下略):人間は否定的なフィードバックをもらうと、たいていは次の反応のいずれかを示します。一つは脅威を感じて、新しい試みに前向きでなくなり、仕事に身が入らなくなるという反応。もう一つは、自分の現在の働きぶりの問題点を洗い出し、仕事をうまくこなすためのよりよい計画を実行に移すという反応です。