大前提となるのは
ビジネスモデルの変革
「カスタマーサクセス実現のカギは、永続的に顧客に寄り添えるかどうかです。タッチポイントが途切れると課金ポイントにつながりません」と、川上氏はタッチポイントと課金ポイントが表裏一体の関係であると説く(図)。課金ポイントを含めてビジネスモデルができていなければ、高コストのカスタマーサポートで終わってしまい、継続して取り組むことができない。

重要なのは、顧客への価値提案とマネタイズを分断させないことだ。課金ポイントをあらかじめ決めておき、タッチポイントに強弱を付けながら、一連の流れとして顧客との接点を持ち続けていけるように業務プロセスを再構築することが求められる。
もう一つのカギはデジタルの活用だ。「タッチポイントのマネジメントを全面的に人手で行うのはコストがかかり、属人化の原因にもなります」と川上氏。従来から“伝説の売り子”と呼ばれる人たちはカスタマーサクセスを実践してきた。ただ、属人的で全社的な動きにはなっていない。優れたノウハウを標準化して全社で取り組むことが、カスタマーサクセスでもある。
「カスタマーサクセスの専門部署を設けることも重要です。ただし、兼務のような中途半端な形では意味がありません。専門部署として権限を持たせ、全社活動にしていくことが必要です」と川上氏は語る。カスタマーサクセスは、顧客の成功の追求が自社の利益につながるようにビジネスモデル化しなければ実現できない。その意味で企業にとって大きな変革でもあるのだ。