商品の長所を強調し、短所には触れないのが賢明であるというのが社会通念であり、一般的に実践されていることだが、新たな研究がそれに疑問を呈している。
研究者らは、オーストラリア・コモンウェルス銀行のクレジットカードの利用を検討している消費者、38万9611人を対象に実地実験を行った。同行は5カ月間、ウェブサイト上に2パターンの宣伝を掲載。一つは通常のマーケティング手法に沿ってカードのメリットのみを強調したもので、もう一つは潜在的な欠点(高額な年会費や海外取引の追加料金など、法的には開示が義務付けられているものの、通常は細則に埋もれている事項)を目立つように掲載した。
顧客がカードを契約して使い始めた後、9カ月間の支出を追跡した。すると、カードの欠点が強調されていた顧客グループは、そうでないグループに比べて毎月の平均利用額が10%多かった。解約率は21%低く、支払い遅延になる割合も11%低かった。違いが最も大きかったのは28歳以上の顧客で、クレジットカードの使用経験が多く、強調された情報をより上手に活用したと考えられる。