価値の高い顧客が粗末に扱われている
顧客ロイヤルティプログラムは広く浸透しており、米国だけでも登録している会員件数は、のべ33億件以上に上る。会員は非常に大きな利益をもたらす。その小売業者から購入する確率が高く、ウェブサイトや店舗を頻繁に訪れ、アプリをダウンロードしたり、ソーシャルメディアでフォローしたり、家族や友人に勧めたりする可能性も高い。
しかし、ペンシルバニア大学ウォートンスクールの教授らと顧客体験のコンサルティングを行うベルデ・グループが行った最新の研究で、ロイヤルティプログラムの重大な欠点が明らかになった。ロイヤルティプログラムの会員は、配送や返品の問題、在庫切れといったサービスの不手際に遭遇すると、非会員の顧客よりも腹を立てるのだ。
会員は非会員よりも頻繁にそのブランドで買い物をするため、そうした問題をより多く経験する。さらに、新型コロナウイルスのパンデミックの影響でオンラインショッピングが増加し、不手際が増えたことで、ロイヤルティプログラムにより大きな損害が出てしまうほどに問題が深刻化している。ブランドが生み出したロイヤルティが逆にブランドを傷付けることから、研究者らはこれを「ブーメラン効果」と呼ぶ。