グローバル全拠点、全従業員の
セキュリティポリシーを一元管理し、可視化

――デジタルシフトをよりスピーディーかつ効率的に進めるためには、何がポイントになりますか。

岩澤 レディーメードのプラットフォームやサービスを使うことが、大きなポイントの一つです。

 従来、業務システムやデータベースは自社のデータセンターや本社のサーバにアクセスして使うのが一般的でした。セキュリティ対策の観点からもそのようにしてきたのですが、近年はSaaSをはじめとしたクラウドサービスの採用が増えており、またリモートワークが一般化したことで、社外から業務システムにアクセスしなければならなくなっています。

 このようにアクセス先とアクセス元が多様化する中で、自社データセンターや本社を経由してクラウドにアクセスする企業ネットワークでは、通信の遅延が大きくなるという問題があります。データセンターや本社からインターネットに抜けるゲートウェイのスペックを高め、回線容量を大きくすればある一定の効果は得られますが、そのためには大変なコストがかかるだけでなく根本的な解決にはなりません。

 その点、Cato Cloudは世界の主要都市にアクセスポイントがあり、アクセスポイント間は大容量のバックボーンでつながっています。当社ではCato Cloudの通信パフォーマンスを独自にテストしていますが、東京からシンガポールのクラウドサービスにアクセスして100MB(メガバイト)のファイルをダウンロードする時間を比較したところ、データセンター経由のVPN(仮想専用線)でリモートアクセスした場合は92秒、VPNなしの場合が52秒だったのに対して、Cato Cloudではわずか10秒でした。米国やヨーロッパのクラウドサービスにアクセスする場合のパフォーマンスも、Cato Cloudは圧倒的でした。

 さらにネットワークを高速化できるだけでなく、Cato Cloudはクラウドで提供されるファイアウォールやURLフィルタリング、不正侵入防止システム(IPS)、アンチマルウエアなどの機能を内包しておりネットワークセキュリティを全ての通信に適用できます。そのため、多数のセキュリティ機器を設置・管理する必要がなく、高速で安定的に安全なネットワークを迅速かつ効率的に導入できるのです。

田島 セキュリティの点について付け加えると、Cato Cloudは世界中の拠点やリモートアクセスする従業員のセキュリティ対策、セキュリティポリシーの制御をクラウドで一元管理できます。

 セキュリティポリシーの変更に伴って、従来のように各拠点やVPNのセキュリティ設定を1台ずつ行う必要はなく、クラウドで簡単に設定変更できます。また、全拠点と全従業員の通信を可視化することもできます。

 グローバル企業においても、国や地域でセキュリティ対策やポリシーが異なる例はよく見受けられ、これがグローバルでのシステム統一やデータ連携を阻害することもあるのですが、Cato Cloudならネットワークやセキュリティを統一されたガバナンスで運用することが可能です。

岩澤 迅速かつ効率的にデジタルシフトを進める上での、もう一つの大きなポイントは人にとっての使いやすさです。どんなに高機能のシステムやサービスも、人にとって使いにくいものは、結局活用されません。

 その点でCato Cloudは、田島さんが述べられた通り、管理者がわずか数クリックするだけで、全拠点のセキュリティ設定を変更できますし、リモートアクセスする場合もCato Networksが提供するVPNクライアントソフトがあれば最寄りのアクセスポイントに自動で接続してくれます。使いやすさという点でも、非常に優れています。

 つまり、安心して使える、パフォーマンスも保証されている、そしてリードタイムも大きく減らせるCato Cloudは、海外拠点ごとにネットワークやガバナンスが異なるという課題に対しても、グローバルで統一されたプラットフォームによって解決策を提供することができます。

――Cato Cloudのアクセスポイントは、現在何拠点ありますか。

田島 世界の主要都市を中心に2020年末で64拠点でしたが、21年5月時点では70拠点に拡大しました。日本では東京と大阪にアクセスポイントがあり、拠点ごとに複数のシステムを走らせていますので、パフォーマンスの点でユーザーにご不便をかけることはありません。