知を生む「場」に対するセンスが問われる
さらに言えば、経営者はオフィスだけでなく「場」に対するセンスが問われると覚悟したほうがいい。
「自社と社会との接点となる場、社内の知(ナレッジ)の共有の仕組み、知をつくる場、これらに対するセンスを持っている経営者とそうでない経営者によって、企業の行く末が分かれる気がします」
その意味はこうだ。「テレワークで使うオンラインミーティングは効率的な半面、同傾向の人との繋がりが増え、かつ身体的インタラクション=相互作用がないので新しいアイデアが生まれにくい。やはりオフィスのようなフェース・トゥ・フェースの場も必要です」
理由は「知識」の“生まれ方”にある。知識は暗黙知と形式知でできていて、豊かで多様な暗黙知があって初めて表出されるのが形式知。そこで暗黙知同士がコミュニケーションする場が必要になるというわけだ。
「ただし、場で知が創造されるのではなく“場の中に意味や知が埋まっている”という感じです。暗黙知は、感情や身体性の知なので、一緒に行動する、相手の動きを見るなど、リズムのある場を共創することで伝わるのです」