これまで、カリスマ的リーダーはリーダーとして優れていると考えられていた。カリスマ的なリーダーには、部下を鼓舞して立派な仕事をさせる力があり、献身や信頼や満足感を植え付ける力がある。それによって部下は、カリスマ性のあるリーダーのほうが、カリスマ性のないリーダーより仕事ができ有能なリーダーだと感じるのである。
しかし、筆者らの研究から、適度なカリスマ性は必要だし重要でもあるが、強すぎるカリスマはリーダーとしての効果を阻害する可能性があることが判明した。世界各国のビジネスリーダー800人(調査対象者)と、その上司、同僚、部下の約7500人(観察者)の協力を得て、3つの研究を実施した。マネジメントの階層としては、グループリーダーからゼネラルマネジャーまで、さまざまなレベルの人が含まれている[注]。
カリスマ性に結び付く性格特性が
たしかに存在する
まず、カリスマ性とは何かを理解することが重要である。伝統的な考え方では、カリスマは個人のパーソナリティ特性ではなく、受け手の感じ方だとされていた。しかし、ある人物についてカリスマ性の評価を行うと、複数の人の評価が一致する傾向がある。その事実が、カリスマ性は受け手の感じ方だけで決まるのではなく、当人にカリスマ性につながるパーソナリティの基盤があることを示している。