非凡なリーダーに
再考を促す部下の存在

 スティーブ・ジョブズは強い信念の下、人々の生活を大きく変えたという伝説がある。彼は自分の思い通りに現実を歪曲できたからこそ、並外れた実績を上げたのだとも伝えられている。

 だが実際にアップルが成功したのは、彼に考え直しを求めた部下たちによるところが大きい。再考を促すコツを心得ている人材を周囲に置かなければ、ジョブズは世界を変えていなかったかもしれない。

 たとえば、ジョブズは何年も携帯電話など絶対につくらないと言い張っていた。部下たちが説得してようやく考えを変えたものの、次には外部アプリの搭載を禁じた。その方針を撤回させて、アプリ配信サービスのアップストアを開設するまでに、さらに1年かかった。すると、9カ月も経たないうちにアップストアのダウンロード件数は10億回を記録し、その後10年余りでiPhoneが叩き出した収益は1兆ドルを突破した。