相手のいる状況で最善の選択肢を見つけ出す意思決定の科学として、ゲーム理論がビジネスの世界で注目されるようになって久しい。しかし、この理論を正しく理解し、経営戦略策定や交渉事に役立てるのは、なかなかやっかいな作業である。経済学への深い知識と数学的な素養が求められるからだろう。とはいえ、有効な理論を目の前にして、宝の持ち腐れではもったいない。競合企業の行動によって自社の最善の行動が変わる、すなわち状況適応型の行動を取れるかどうかが、これからの競争のカギであることを考えれば、なおさらである。本稿では、東西の戦史を切り口にゲーム理論の基礎を学ぶ。