ある朝、インド南部のバンガロールにあるテクノロジー系スタートアップ企業で、創業者のアーチャナ・パチラジャンは全社員を会議に招集した。みんなが席に着くと、彼女はこう告げた。会社の資金が尽きたので、全員を解雇しなくてはならない。もう給料を払うことができなくなった、と。
高度なスキルを有する同社のエンジニアたちは、急成長中のインド版シリコンバレーでは引く手あまたである。だが驚いたことに、全員が会社を去ることを拒んだ。給料が半分になってもいいから、アーチャナの下で働きたいと言ったのだ。
留まった社員が懸命に働いた結果、わずか数年後には、アーチャナの会社──インターネット広告のソリューションを提供するハッブル──は成功を収め、1400万ドルで売却された。アーチャナはその後、新たに米国で会社を起業。そしてインドにいる彼女のかつてのスタッフたちは、何千マイルも離れた場所で、いまも彼女のために働いている。