コロナ禍で明白となった
本質的な不平等
アーシュラ・バーンズは2009年、ゼロックスのCEOに指名された。その瞬間、彼女はフォーチュン500初の黒人女性経営トップとなった。マンハッタンの安アパートで育った彼女が、米国有数の企業のトップに上り詰めたのだ。それは、輝かしい人生のハイライトだった。
彼女は7年にわたってゼロックスを率い、物言う株主(アクティビスト)のカール・アイカーンと激しく争った末に事業を分割し、2016年に退任した。その後は世界的な通信会社ビオンのCEOを務め、また、いまでも有力企業数社の社外取締役を務めている。
彼女が正面切って掲げるインクルーシブ(包摂的)資本主義と人種間の平等は、出版されたばかりの回顧録Where You Are Is Not Who You Are(あなたのいまいるところが、本来いるべき場所とは限らない:未訳[注])に命を吹き込むテーマになっている。