-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
アメリカ軍は超巨大市場である
想像してみてほしい。2000億ドルの新しい市場が思いがけなく拓けた様子を。そして、この巨大市場はあらゆる人々と関係しており、また巨大な収益源であり、それゆえ、さらなる創造的な戦略、鋭い財務センス、優れた組織力を備えたパートナーを必要としていると──。
我々は国防総省(ペンダゴン)の出身である。このほどボストンコンサルティンググループ(BCG)との共同研究の結果、アメリカ軍に民間のエネルギーと資源をふんだんに注ぎ込めば、大きなビジネスチャンスが開けると断言するものである。
アメリカ軍と聞けば、たいていの人が、夜ごとのニュースで目にする戦闘機や武器などを思い起こす。しかし、この戦闘力も効果的な支援体制なくしては、その力を発揮できない。すなわち、前線の兵士たち、後方支援部隊、そして彼らの家族らを支える物資やサービスの補給である。ただし、その仕組みは複雑であり、また高コストでもある。
しかし、軍備にしても、その支援体制にしても、いまや強い予算削減圧力にさらされており、軍全体にわたって変革を強いられている。とはいえサポート部門には、さまざまなチャンスが埋もれている。
なぜアメリカ軍に改革が求められているのか、その理屈がわかれば、ビジネスチャンスを見出せるばかりか、みずから創出することも可能である。シンプルなフレームワークに当てはめてみれば、このユニークな巨大市場に食い込む戦略も見えてくるだろう。そしていくつかの原則を理解すれば、実りの多い長期的な関係を築くこともできるだろう。
軍改革はビジネスチャンス
ドワイト D. アイゼンハワー大統領が提唱した「軍産複合体制」も変容しつつある。この言葉が唱えられた当時、国防総省と四軍、すなわち陸軍、海兵隊、海軍、空軍は、数社の巨大軍需企業と蜜月にあった。これらの企業は、詳細を極める規制や発注手続きの網の目をかいくぐり、大型プロジェクトをものにしてきた。
しかし今日のアメリカ軍は、医療、住宅、そしてITに至るまで、新しいタイプのビジネス・パートナーたちと協力しながら、さまざまなニーズを満たしている。要するに、これまで長らく染みついた軍需独占体質はビジネスライクなものへと転換しつつあり、非戦闘部門のアウトソーシングやパートナーシップが現在の軍事力を支えているといえる。