企業に対して女性の取締役を増やすことを求める社会的かつ規制的な圧力から、株主はおおむね女性取締役を支持すると考えられる。そして、多くの場合は支持している。しかし、新しい研究によると、その支持は脆弱で、状況次第であることがわかった。
研究者らは2003~2015年に上場企業で行われた5万件以上の取締役の選任について調査した。すると、新任であれ、再任を目指す現職であれ、女性候補者は概して男性候補者よりも反対票が少なく、既存の取締役会における女性の割合が著しく低い場合は、その傾向が高かった。しかし、企業が業績不振や否定的なメディア報道などの脅威にさらされている、あるいは取締役に相当数の女性が登用されたことがある場合には、こうした傾向は見られなかった。
また、脅威の原因が取締役自身にある場合(出席率の低さや非独立性など)、女性は男性よりもはるかに厳しい対応に遭っていた。出席率が低い場合、女性取締役への反対票は男性よりも27%多く、独立取締役ではない場合、反対票は17%多かった。反対が多くても通常はすぐに解任されることはないが、翌年に離任する確率が30%高くなる。