報告が進歩につながらない実情

 この20年間、多くの先見的な学者やコンサルタント、企業幹部、NGOリーダーが、企業はもっと環境にやさしく、社会的責任をまっとうすることを目指しながらも、成功を収めることができるという理論を喧伝してきた。そういう人たちを筆者は「サステナビリティ株式会社」と総称しているが、彼らは、サステナビリティ(持続可能性)のパフォーマンスを測定し、世の中に報告すれば、4つのことが起きると信じていた。

(1)個々の企業の環境、社会、ガバナンス(ESG)のパフォーマンスが改善する(測定されるものは管理されるから)。

(2)サステナビリティの実績が改善した企業は、自己資本利益率も改善する。