グローバルHRMの課題は何か

 前途有望なビジネス・リーダーにとっての通過儀礼とは、まず海外勤務だろう。しかし経験豊かなマネジャーに、ぜいたくな手当のついた好条件の海外勤務を持ちかけるという、これまでの多国籍企業のやり方はすたれつつある。

 景気後退を受け、多くの企業はやむなく海外への配属を削減した。なかには、海外勤務の期間を短くし、またマネジャーとしてのキャリアの早い段階に持ってくることで、転居を伴うことなく、より多くの社員にグローバルな経験を積ませようと考える企業もある。海外勤務者のコミュニティだけで生活するのではなく、赴任先の国の文化と本気で向き合うように、社員たちに強く勧めている企業もある。

『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)誌はグローバルHRM(ヒューマン・リソース・マネジメント)の課題について、シーメンス、セメックス、ウォルマート・ストアーズ、そして三星(サムスン)という多国籍企業4社の人事担当役員に、HBR誌ドイツ語版のコーネリア・ガイスラーとローター・クーン、HBRシニア・エディターのダニエル・マッギンが話を聞いた。これら4社は、変化を続ける社会に対応した戦略をどのように構築しているのだろうか。