山田 たとえばスーパーマーケットやドラッグストアなど、複数事業を横断して顧客起点のビジネスモデルへと変革するようなDX、あるいは脱炭素、MaaS(Mobility as a Service)のように産業やバリューチェーンを超えて多岐にわたるステークホルダーが関わるテーマにおいて、プロジェクトマネジメントを経験することで、御社のDX人材がより高度化していきます。そして、異なる企業同士をデジタルでつなぐことで、新たな価値創出の機会も増えていく。幅広く多様な現場を保有する御社の強みを存分に活かすことにつながる取り組みだと思います。

 より大きな価値を創出するには、生活者や顧客企業、あるいは社会がまだ気づいていない課題を見つけ出し、それを解決していく必要があります。SDGsなどの社会課題への対応も、投資家視点を超えた事業運営上の変革の必要性が増していくでしょう。その時に重要となるのは、生活や産業、社会の10年後、20年後のあるべき姿からバックキャストしてビジネスをデザインできる組織能力です。

芳賀 そのためにも我々はもっと現場に入って、生活者や顧客が気づいていない課題を洞察していくことが大事です。一方で、我々の組織能力だけでは限界がありますから、生活者や幅広い業界の知見、デジタルやデータ活用の実践知を持つ外部パートナーとの共創を強化していく必要があり、その点でもアビームさんに期待しています。

 加えて、当社のグローバルなCVCネットワークを通じて、イノベーティブなスタートアップとの連携機会をもっと増やしたい。たとえば、成長戦略テーマの一つである次世代エネルギーの分野でいえば、グリーンエネルギー、蓄電池、VPP(仮想発電所)といった領域に強いプレーヤーがどこにいるのか、テーマごとに一目でわかる俯瞰図をもとに、スタートアップなどとの連携を深めています。

山田 現在の提供価値と未来のあるべき姿を実現するために必要な価値創造、そして、そのギャップを埋めるために必要な共創とイノベーションをプロットした相関図をつくることができれば、ビジネスイノベーションプロセスの確立に大きく近づくことができるはずです。最後に、DXを通じて住友商事をどのような存在にしていきたいですか。

芳賀 業界の枠を超えた知見と先端デジタル技術を掛け合わせて、ビジネスを変革・創造する「デジタルソリューション総合商社」として、SDGsを含めた社会課題を解決する存在になりたいと思います。

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