「シナリオ分析」のステップでは、事業の投資対効果に関する分析を、売上げやコストだけでなく、環境価値も勘案した分析に変更することを提案。また、CO2削減の取り組みについては、各対策の削減効果やコストを踏まえ、効果の高いものから実施していくシナリオづくりを勧めている。

 最終ステップである「対策導入」では、調達ではBOM(部品表)、生産ではBOP(プロセス表)、設備ではBOR(リソース表)といったように、プロセスごとの管理システムとカーボンフットプリントを計算するシステムを連携させることを提言した。

煩雑なLCAやシナリオ分析を効率化する

 ウェビナーの最後には、化学・素材メーカーを中心に事業戦略や新規事業検討を行っているProcessセクター マネジャーの山岸寛氏より、デロイト トーマツ コンサルティングが自動車部品・材料のサプライヤー向けに提供しているGHG排出量削減のためのサービスやソリューションについて解説した。

デロイト トーマツ コンサルティング
マネジャー
山岸 寛 氏

 山岸氏は、「すでに多くの自動車・部品サプライヤーは、完成車メーカーからGHG排出量削減に向けた取り組みを迫られはじめていますが、多種多様な原料や仕入れ先、異なる製法や製造立地を有するサプライヤーは、自社全体の排出量を把握することですら非常に煩雑であるという課題を抱えています」と説明した。

 加えて、国・地域ごとの排出関連規則への対応や、自動車市場以外への対策、といった将来的に想定されるLCAへの対応工数増加も今後の懸念であり、そのため、「排出量を見える化すれば終わりというわけではなく、その後も続く業務負荷を見越した対応が必要です。しかし、他社に先行してその困難な取り組みを行えば、競合サプライヤーよりも有利にビジネスを進められる可能性があるのですから、このタイミングで先行して対応を進めてはいかがでしょうか」と山岸氏は語る。

 デロイト トーマツ コンサルティングでは、ここまで紹介したGHG排出量削減のための4つのステップに対するコンサルティングのほかに、全社や事業所単位の排出量を一元的に可視化したり、排出シナリオを検討したりできる管理ツールも提供している。
(ウェビナーでは、ここで実際のツール操作の様子が実演された)

 こうしたツールを使うことで、業務負荷は大幅に軽減され、取引先からの要求の変更にも柔軟に対応しやすくなる。

「コンサルティングサービスでは、当社がこれまでの支援で培った知見や事例をもとに、排出量を削減するためのさまざまな施策を提案することもできます。施策ごとに期待できる削減効果を積み上げ、お客様とともに精度の高いシナリオをつくり上げていきます」(山岸氏)

 デロイト トーマツ コンサルティングは、以上のようなサービスやツールの提供を通じて、日本の自動車産業界が従来の国際競争力を保持し続け、脱炭素社会に貢献していくことを力強くサポートしていく方針だ。

(関連リンク)

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