投資家がマイノリティの創業者を過小評価していることは、多くの研究から明らかだが、ある研究チームは、組織的な人種差別を強調するような市民のイベントが、そうした評価上の差別に影響を与えるのかと考えた。たとえば、人種的正義を求めるデモ行進は、共感を呼び、黒人起業家への支援を増やすのか、それとも潜在的なバイアスを活性化させ、彼らの機会を少なくするのか。

 2つの実験のうち最初の実験では、白人が大半の被験者323人の一部に、スターバックスが従業員に人種的偏見に関する研修を行う決定をしたという記事を読ませ、人種間の対立について考えるよう誘導した(他の被験者は吹雪についての記事を読んだ)。その後、すべての被験者に、黒人あるいは白人の起業家が代表を務めるクラウドファンディングのプロジェクトを評価してもらった。

 誘導されなかった被験者は、創業者の人種にかかわらず、プロジェクトを同じように評価したが、誘導された被験者は、黒人創業者のプロジェクトに対する評価が低く、プロジェクト成功への信頼感が薄かった。研究者らは、情報が目立つようになるほど、意思決定に大きな役割を果たすようになり、人種が高い関心を集めている状況では、人々は差別的になりやすいと指摘している。