「経営層であれ、現場であれ、顧客価値を最大化することに異論はないはずです。それを実践する会社に生まれ変わるという“大義”と具体化された“顧客体験(プロトタイプ)”を共有することで、部門間の利害の壁を打ち破り、全社一丸となって変革に取り組む原動力を生み出すのです」(小浪氏)

電通デジタル
小浪宏信氏

 CXを向上させるためのPDCAサイクルの起点となるのは、顧客の製品・サービスに対する満足度や利用体験などに関するデータだ。

 「顧客が継続的に利用する製品・サービスの体験に関するデータを、デジタル接点、リアル接点などのあらゆるチャネルから入手し、蓄積されたデータを製品・サービスの企画・製造に関わるすべての業務プロセスにフィードバックし、顧客接点を改善し続ける。そのポジティブサイクルを継続的かつ高速に回していきます。それによって、CXを起点とした革新的な製品・サービスの開発やビジネスモデル変革が促進されます」。そう語るのは、同社CX/UXデザイン事業部事業部長の桑山晃一氏である。

 桑山氏は、「DXが思うように進まないのは、売り切り型のビジネスから脱却し切れず、売った後も顧客と接点を持ち続けるビジネスモデルに対応した業務プロセスが確立されていないことも大きな原因の一つです。CX起点で業務プロセスを変革し、改善された製品・サービスによって、さらにCXを高めるという好循環を回すのがCXトランスフォーメーションなのです」と続ける。

 製品・サービスの継続率が上がれば、データはさらに蓄積され、DXも加速度的に進むことになる。

 「この循環を回し続けるには、蓄積したデータを短期的なマネタイズに利用するのではなく、CX向上によって顧客に還元するという共通認識を組織全体で持つことが重要です」と、小浪氏はアドバイスする。