給与の男女格差を研究している経営学者らは一般的に、同一賃金を阻む組織的な障害に焦点を当てる。しかし、新しい研究ではより広範な影響に着目した。信仰の厚さ、つまりは生活における宗教の重要度である。

 最初の研究では、国連による「人間開発調査」140カ国の男女の給与に関するデータと、ギャラップ社の宗教に関する調査結果を収集した。「宗教は日常生活の重要な要素である」と答えた回答者が全体の95%以上の国(パキスタンやフィリピンなど)では、女性の収入は男性の46%だった。一方、宗教が重要であると答えた回答者が全体の20%未満の国(デンマーク、エストニア、スウェーデン)では、女性の収入は男性の75%だった。

 2つ目の調査は、米国に焦点を当てたものである。最も宗教色の強い5州(ミシシッピ、ユタ、アラバマ、ルイジアナ、アーカンソー)では、男女の賃金格差は26%だったが、逆に宗教色の薄い5州(すべてニューイングランドの州)では18%だった。