強まるAI規制の動き
ここ10年ほどの間、デジタル技術に関して世間一般の人々が懸念していたのは、パーソナルデータが悪用されるのではないか、ということだった。企業がオンライン上で自分たちの行動を追跡し、クレジットカード番号や住所、その他の重要な情報を収集することに不快感を抱いていた。また、自分の検索履歴をもとにした広告がウェブ上でついて回るのを気味悪く思い、パーソナルデータの窃盗やなりすましも心配の種だった。
こうした懸念は米国と欧州での規制につながった。インターネットユーザーがパーソナルデータや画像をある程度、自分でコントロールできるように保障したのである。最も顕著な例は、欧州連合(EU)が2018年に施行した一般データ保護規則(GDPR)だ。
しかし、当然のことながら、これらの規制によって企業のパーソナルデータの利用に関する議論が終わることはなかった。たとえば、こうした規制をかけることで、規制の緩い国、特に中国と比較すると、欧州と米国の企業のパフォーマンスが低下するのではないかという見方が生まれている。