「市場/自社」ではなく
「社会/顧客」が主役の変革
全社でパーパスやミッションを共有したうえで、常に生活者の変化に対応しながら提供価値を最大化していくためには、社会や顧客を基点にDXや事業モデル変革を進める必要がある。
しかし、多くの企業が「社会/顧客」に対する価値創造のための変革ではなく、「市場/自社」目線の変革から抜け出せていないのが実情だ。それは、海外ベストプラクティスをそのまま自社に取り入れようとしたり、大規模IT基盤構築や新組織開発など、ハコやデジタイゼーション優先でDXを進めようとしたりしていることに大きな要因がある。
それに対して、電通デジタルが提唱する「両利きの経営=顧客基点の事業モデル変革」は、企業の持つ大きなアセットである顧客資産の成長を中心に置きながら、既存事業の進化と自社らしい新規事業の具現化を両輪で推進するものだ。
「既存事業と新規事業のシナジーを創造するだけでなく、ビジネスとIT、新規事業と既存事業など部署間の縦割りを壊し、双方の共通言語となる顧客体験の創造、橋渡しとなるプロセスデザインや新たな事業基盤づくりを、クライアントに伴走しながら行う。それが私たちのアプローチです」と安田氏は語る。
プロセスデザインの再構築を支援した一例として、安田氏が挙げたのが、ある大手保険会社の取り組みだ。
この保険会社では、縦割り組織に横串を通す機能横断型チームを編成。各チームが新たな営業・マーケティング施策のプロトタイピングと実装、アップデートを迅速に繰り返しながら顧客ニーズの変化にスピーディに対応するマーケティングモデルに進化。顧客向けの施策効果が改善し、申し込みが大幅に増加するなどの成果を上げた。
既存のモデルから新たな事業モデルへの“越境”は簡単に成し遂げられるものではないが、「企業が持つ顧客資産という強みをデジタルで活かし、社会や顧客に価値を還元していくというぶれない基軸があれば、事業変革は必ず成し遂げられます。我々は変革を実現する“イネーブラー”、つまり“新たな社会を構想し具現化する人”として、企業と顧客をつなぐ存在でありたいと思っています」。
安田氏は変革に挑む“越境者”に寄り添う信念をそう熱く語った。
●参考
「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査(2021年度)」
https://www.dentsudigital.co.jp/release/2022/0111-001215/
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