自社の知的財産を他社が無断で使用していると考えた場合、企業は訴訟を起こして補償を求めることがある。しかし、新たな研究によれば、特許訴訟は諸刃の剣であり、保護されるべき知識をさらに相手にさらしてしまうおそれがあるという。
研究者らは、1998~2015年にかけて、米国で活動する製薬会社が起こした特許侵害訴訟3000件以上を分析。財務や特許のデータ、FDA(米食品医薬品局)の承認など、企業に関わる詳細な情報を入手し、訴訟に関与していない企業の情報と比較した。
その結果、特許侵害訴訟の被告企業は、訴訟を起こされていない企業に比べ、平均で18%多く新薬を開発し、通常の半分の期間でそれを実現していることがわかった。問題となった特許が比較的新しい知識や異質な知識を利用していたり、範囲が広かったりすると、被告企業のイノベーションはさらに増大した。