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だれも「無形資産」を正しく評価していない
企業成長と株主価値のほとんどが、熟練の労働力、特許やノウハウ、ソフトウエア、強力な顧客リレーションシップ、ブランド、独自の組織設計と業務プロセスなど、いわゆる「無形資産」から生み出される。
これら無形資産は、上場企業の時価発行総額のゆうに半分以上を占める。また、無形資産への投資は年間1兆ドルに上る。実際、このようなソフト資産が真の競争力をもたらしている。
にもかかわらず、さまざまな調査結果が示すとおり、投資家は一貫して「無形資産集約型」企業の株式を誤って評価しがちである。時として、市場は無形資産、とりわけ一部のドットコム企業をはなはだしく過大評価し、資金をドブに捨てている。一方、伝統的な業種の企業は過小評価されるケースが多々見られる。
この結果、投資された企業は極端に高い資本コストを負うことになり、無形資産に十分投資されないという事態が生じる。そして、投資家が求める利得と成長機会を逸することになる。
また経営者も経営者で、何の確証もないままに、たとえば無形資産への投資額を決定したり、最も大きなリターンが期待される資産は選択したりしている。
R&D投資の場合、不十分であるばかりか、収益可能性もリスクも高い次世代技術の開発から経営資源を引き上げ、それをより安全な既存製品や技術改良に回す。その結果、企業発展を推進すべき競争優位の刃が鈍る。これは企業だけでなく、経済にも大きな害を及ぼす。
どうすればこの悪循環を断ち切ることができるだろうか。どうすれば無形資産の刃を鈍らせることなく、さらに磨きをかけることができるだろうか。