マルチタスクの評判が悪いのは周知のことだ。仕事の効率や質を低下させ、ストレスを増大させるというのである。しかし、一連の研究でそのよい面が明らかになった。マルチタスクをする人は、その後のタスクでより創造的になるという。

 研究の一つで取り上げられたのが、秘密の箱に入った食材を使って3コースの料理をつくるテレビのリアリティ番組『チョップド』である。番組の44回分を対象に、プロのシェフが前菜とメインの料理をつくるのに必要な動作を数えて、マルチタスク度を数値化し、別のシェフが3つの料理の創造性を評価した。

 前菜でのマルチタスク度が高いと、メインがより創造的になり、メインでのマルチタスク度が高いと、デザートがより創造的になった(この効果は次のタスクにのみ当てはまり、たとえば、前菜でのマルチタスクにより前菜がより創造的になることはなかった)。