みずからに関する成功の知らせを受けることは、多くの人にとってジレンマを伴う。よい知らせを共有すべきか、それともそれを聞いた相手がうらやんだり、脅かされていると感じたりしないように、自分の中だけに留めておくべきか。新しい研究がヒントを与えている。
研究者らは7つの実験から、成功を隠すことは対人関係において大きな代償を伴うことを明らかにした。実験の一つでは、被験者に次のようなシナリオを想定してもらった。「自分と親しい友人の『アレックス』は、同じ大学の教職に応募していた。ある日、アレックスが応募プロセスの一環として大学に招かれて講演したことを知って、その後、彼に就職活動の近況を尋ねた」というものである。
被験者の半分には、アレックスが大学での講演というよい知らせを共有したと伝えられ、もう半分にはそれを隠したと伝えられた。すると、後者の被験者のほうが、アレックスに対する親近感や信頼感が低く、将来彼に協力すると答えた割合が少なかった。こうした反応は、アレックスの行動はパターナリズム[注]だととらえて、侮辱されたと感じたことによるものである。