企業が社会問題の解決を
主導すべき時が来た

 CEOに眠れなくなる理由を尋ねてみたら、競争に勝ち抜くこと以外にも心配事を抱えていることがわかるだろう。もっと大きな社会的な課題や、その解決に手を貸すには何ができるかを、CEOたちは以前にもまして考えるようになっているのである。それは彼らが人々の期待を鋭く認識しているからだ。かなりの割合のステークホルダーが、企業幹部は社会問題の解決に主導的な役割を果たすべきだと考えている。2021年のエデルマン・トラスト・バロメーターの調査では、86%がそう回答した。

 新型コロナウイルスのパンデミックや、ハリケーン、洪水、猛暑などの気候が及ぼす災害、あるいは人種間の格差など、危機や大惨事への対応では、公的セクターやNGOなどが先頭に立つものと考えられてきた。

 もちろん、企業や企業が持つリソース、専門性も力にはなる。たとえば、2021年のアフガニスタンからの米軍撤退では、民間航空会社が航空機を運行して政府に協力した。また、フェデックスやUPSなどの運送会社は、パンデミックに関連したサプライチェーンの問題を緩和するために、米政府の依頼を受けて、週7日、24時間稼働している。さらには、ウォルマートなどの大手小売業は、異常気象などの際には、連邦緊急事態管理庁に協力してペットボトルの飲料水などを配給してきた。