監視カメラ、ドラレコなどで
新IoTビジネスが続々誕生

 IIJのフルMVNOサービスを活用したIoTビジネスは、すでに続々と誕生している。代表的な事例をいくつか紹介しよう。

 A社は、防犯・監視カメラを遠隔から制御するクラウド型映像監視システムを開発し、住宅メーカーや建設業界、自治体などに提供している。システムを構想した際に課題となったのが通信方法だった。高精細で滑らかな映像を実現するには、高速・広帯域の回線の活用が不可欠であることから、MVNOを検討することにした。IIJのフルMVNOは、監視カメラや産業用IoTでの活用事例も多く、他のMVNOに比べて柔軟なサービス展開が可能な点に注目。大容量でも安価な定額プランが設定されていることから、これを選定した。

 B社は、子どもの居場所をGPSでリアルタイムに把握できる見守り専用の小型端末機を開発。そこに通信モジュールに対応したIIJのSoft SIMを採用した。物理的なSIMカードが不要になることで、製造コストの大幅な削減や、防水・耐衝撃機能の強化、接触不良による通信トラブルの回避などを実現したほか、新たなサブスクリプション(定額課金)型によるビジネスモデルの創出につながったという。B社では今後、他の製品の通信モジュール開発においてもSoft SIMの活用を広げていく方針だ。

 C社は、安心・安全・快適な暮らしに貢献するための、ICTを活用した新規事業の一環として、自治体向けの地域情報配信システムを開発した。従来は防災行政無線が主だったが、新サービスではIIJのフルMVNOを活用し、自治体がさまざまな情報を文字・画像・動画・音声などで配信。一方、地域住民はその情報を専用のタブレット端末やスマホで、いつでも、どこでも受け取ることができるようになった。現在、全国30の自治体で1万台近くの端末が使用されている。ユーザーごとの利用状況のばらつきを考慮し、自治体単位でデータ通信量を共有できる料金プランへの移行も広がっている。

 D社は、GPSを搭載したLTE通信型のドライブレコーダーを開発。そこにIIJのチップ型SIMを採用した。急加速や急減速のような危険運転が発生した際は、車両の前後左右と車内の映像が、前後各10秒間記録され、クラウドサーバー上に自動でアップロードされる仕組みで、主に陸運や流通、旅客輸送などの運輸業で、車両管理や安全運転の推進を目的に活用されている。車載機器にとってリスクの多いスロット機構を廃止できるチップ型SIMを採用したことで、高品質な通信はそのままに、トラブルフリーな安定性を実現している。