プロジェクト型のプロダクト体制を推進できた理由

 イベント後半では、リクルートが進めるプロジェクト型経営の内実がつまびらかにされた。聞き手は、独立研究者・著作家・パブリックスピーカーとして活動するライプニッツ代表の山口周氏が務めた。

ライプニッツ代表 山口周

 7社統合後に再編成されたリクルートのプロダクト体制は「スタッフ」「プロジェクト統括本部」「営業統括本部」の3つから成る。統合前7社に分配されていたプロダクト開発は一つの機能別組織にまとめられ、同時にスタッフも集約し先鋭化・専門化された。各人には所属組織での主務があるが、プロジェクトが立ち上がると、プロジェクトベースでのチーム編成により、兼務としてプロジェクトに加わる。

 前提として、同社は2000年代初頭、メンバーシップ型から半ジョブ型(ミッショングレード制)へ移行しており、兼務も多かった。北村氏は「もともとプロジェクト型っぽく働いていたことが、今回の再編ではうまく機能した面もあります」と振り返る。

 旧来日本企業の多くは、メンバーシップ型雇用を取ってきた。その経緯から「プロジェクト型は日本企業に合わない。リソース配分などの面から根付きにくい」と否定的な意見もある。そこで山口氏は、プロジェクト型への移行時に直面する人的資源配分の問題に触れる。

「たとえば、ある担当者が4つのプロジェクトをかけ持ちしていたとします。本来的には25%ずつ×4案件の稼働でやるべきなのに、4案件のどれにも興味を引かれない担当者は、忙しさを理由にすべての案件10%ずつ(トータル40%)でやろうすることも起こりがちです。これは会社全体で考えれば由々しき事態。ある種の性悪説に立たなければ、プロジェクト型は成り立たないのではないでしょうか」(山口氏)

 しかし北村氏はこう話す。

「現行の当社のプロジェクト型については、経営・マネジメントとしての思想は『性善説』だと思います。たとえ10%ずつの稼働でも、結果的に25%分の成果が出るならばそれでよしと考えます。歯を食いしばり仕事をして成果を出すのは素晴らしいことですが、歯を食いしばらず努力もせずに同等の成果を上げる『天才』と呼ばれるような人もいます。プロセスよりも結果を重視しています」