子ども時代の自分が
大人の自分を振り回す

 理屈はこうだ。よりよいリーダーになりたければ、フィードバックを求め、内省しなければならない。そうすれば自身の強みと弱みがわかり、そこから自己改善プログラムに着手することができる──。だが実際には、それほど単純ではない。仕事でどう変わりたいかはわかっているのに、変われないことが多い。その理由もはっきりしない。

 仕事上の成長が妨げられるのには、いろいろな理由がある。だが、最も重要な理由の一つはめったに議論されない。つまり、あなたは過去の亡霊と戦っているのだ。子ども時代に家族のダイナミクスから生まれた基本的な態度や振る舞いが現在も付きまとい、仕事に反映される。そうした家族のダイナミクスから、あなたは権限や達成、アイデンティティについて多くのことを教わった。だから、職場で同じようなダイナミクスが強く働くと、すぐに子ども時代のパターンに戻る。

 たとえば上司と交渉している時、突然、5歳の自我が大人のあなたを押しのけ、反応を示す。あるいは同僚と会っている時、気がつけば、昔の兄弟げんかの時と同じような振る舞いをしている。