生物学の知見から
企業間競争を考える

 今日の大多数の企業にとって、真に持続可能な優位性はイノベーションで競合の先を行くことによってのみ実現する。成功を収めるのは、速やかにしかも巧みに進化する事業である。

 とはいえ、革新的な事業といえども、孤立した状態で進化を遂げることはありえない。資本、事業パートナー、サプライヤー、顧客など、あらゆる種類のリソースを引き寄せ、相互協力的なネットワークを築かなくてはならないのだ。

 このようなネットワークは、戦略的アライアンスやバーチャル組織をはじめとするさまざまな呼称の下でしきりに論じられてきた。ところがそれら理論は、変革の根底を成す戦略的論理を理解しようとするマネジャーたちにとって、体系的な支援にはほとんどならない。まして、イノベーションの実用化を担う複雑な事業コミュニティを育てる際のマネジメント課題を予測するとなると、役立つ理論はさらに少ない。