下からの提案はほとんど通らない

 あなたには名案がある。会社にとってコスト削減になる商品の微調整、チームの生産性が高まるプロセス変更、目前に迫った危機を食い止める計画などだ。だが、一つ問題がある。上司にその話をどのように持ちかけるべきか心もとない。さらに悪いのは、努力したが上層部の関心が得られなかった場合だ。

 ボトムアップによるイノベーションや問題解決の価値についての研究は豊富にあるのに、いまなお多くの従業員は上司に意見を言ったり、提案したりするのは気が重いと感じている。米国の従業員を対象としたある調査で、70%もの回答者が、重要な問題であっても上司に気軽に進言できないことがわかった。また2003年の画期的な研究では、従業員の85%は、意見を率直に述べるのが怖くて自分のアイデアを出せないでいることが判明した。

 その他の研究でも、従業員が実際に声を上げたとしても、その提案はだいたいが変革につながらないことが示されている。