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市場はイノベーションを嫌う
消費者に革新的な商品を使わせるのは容易でなく、むしろますます難しくなっている。市場がネットワーク的な様相を帯びるに従って、新しい商品やサービスを投入する際、従来ならば有効と考えられたツールがあまり機能しなくなっている。
広告や販促活動、営業力の効果も薄れつつある。競合する情報源が生み出すやかましさは、イノベーターに注目が集まることをこれまで以上に阻害する。一筋縄ではいかない顧客との関係性を巧みに御するスキルだけが、差別化につながるかのようだ。
企業幹部は、市場にイノベーションをもたらす方法を再考する必要に迫られている。現在のネットワーク社会で勝負するための新戦略は、ゲーム理論を用いて立案できる。
社会的、商業的、そして物理的なネットワークがどのように振る舞うのかを理解することで、イノベーターは新戦術を開発できる。最終局面から逆算することで、市場を敵から味方に変容させられる。
市場はもともと、その性質として、新しいアイデアや商品の登場に抵抗する力を備えている。
革新的な新商品の開発や販売にはリスクがあるにもかかわらず、利益や成長、株主価値を牽引するものとして、企業はイノベーションに魅了される。とはいえ、それもこれもリスクゆえのリターンにほかならない。
一方で市場は、ほとんどの新しい商品やサービスを葬り去り、生き残りをしぶしぶ受け入れる。
たとえばアメリカでは、テレビがマスメディアになるのに30年以上かかった。1920年代後半に試験放送が始まり、60年代になってようやく広く受け入れられるようになった。