諸外国に比べてデジタル競争力が著しく低い日本。圧倒的なデジタル人材不足が大きな要因だ。国はこの課題を解決するため、ビジネスパーソン全体のデジタルリテラシー向上を促進させる「デジタル人材育成プラットフォーム」の整備を開始。プラットフォームづくりの一翼を担う独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に、具体的な取り組みについて聞いた。

センター長
高橋伸子氏(左)
人材プラットフォーム部
スキルトランスフォーメーショングループ研究員
山川宏樹氏(右)
世界的に著名なビジネススクールであるIMD(国際経営開発研究所)の「世界デジタル競争力ランキング」2021年調査では、日本のデジタル競争力は64カ国中28位に過ぎない。
「特に『人材/デジタル・技術スキル』のランキングが62位に低迷し、全体の順位を下げる大きな要因となっています。スキル不足が競争力の低下をもたらしているとの懸念から、経済産業省はデジタル時代に対応する人材の育成に関する取り組みを本格化しています」と語るのは、IPAの社会基盤センターでセンター長を務める高橋伸子氏だ。
経済産業省は、人材育成のための仕組みとして「デジタル人材育成プラットフォーム」の整備を開始。学びの機会の提供や、一般のビジネスパーソンにも求められるデジタルスキルの標準策定などを進めている。その取り組みの一翼を担っているのがIPAである。
「当機構は、2018年からデジタル時代に求められる人材・スキルに関する調査を毎年実施しています。その知見やノウハウも活かして、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する一握りの人材だけではなく、ビジネスパーソン全体のデジタルリテラシーを向上させるプラットフォームの整備を支援しています」と高橋氏は説明する。
具体的な取り組みの一つが、学習ポータルサイト「マナビDX(デラックス)」の運営。これは、DXやデジタル技術に関する知識がまったくない初心者から、AIやデータサイエンス、IoTといった最新のデジタル技術を学び直したいIT人材まで、あらゆるレベルに対応した学習用のコンテンツが揃うポータルサイトだ。
「コンテンツには、経済産業省やIPAのほか、デジタルソリューションや統計サービスなどを提供する民間企業が制作したものも含まれています。『デジタル人材育成』という趣旨に賛同する企業からコンテンツの掲載を募り、一定の審査基準を満たしたものだけを採用しています」と語るのは、IPAの社会基盤センター人材プラットフォーム部の山川宏樹氏である。