DX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現するためのプロジェクトで、エクセルを進捗管理に使う企業は多いだろう。しかし、競争優位性確保のための製品やサービス開発、プロセス・イノベーションといった新たな価値創造のための重要なプロジェクトを旧態依然の手法で進めるのは無理がある。そこで、新たにプロジェクト管理ツールを導入する企業もあるが、多くが成果を上げられていない。原因はどこにあるのだろうか。

エクセル依存からの脱却が
うまくいかない原因

 DXとひと口に言ってもその内容はさまざまだ。社内の業務プロセスの改革から、新たな製品やサービスの開発、さらにはいままでなかったようなビジネスモデルの構築まで非常に幅広い。いずれのプロジェクトでも重要になるのは、組織を横断したクロスファンクションの情報共有や進捗管理に加えて、プロジェクトの起点となった経営戦略とも連動させることである。そのためには「プロジェクト管理」をより広い意味にとらえ直す必要がある。

 DXを実現するためのプロジェクトの管理にエクセルを使う企業は多いが、そこではエクセルは多くの役割を担っている。いつまでに何をやるのかというTo Doリストであり、どこまでできているのかというスケジュールチェックリストであり、何が行われたのかを報告する日報や週報でもある。

 これらは言わば「狭義のプロジェクト管理」だが、それでもエクセルによる情報共有は問題点も多い。さまざまな情報が集約されているので、個々人からすると「関係ない情報が多い」、表計算形式なので「全体感が把握できない」などだ。

 こうした問題を解決するためにプロジェクト管理ツールを導入するも、実際には成果に結び付かないことが多い。エクセルが担っていた機能の一部を新しい管理ツールに移管するだけなので、結局エクセルも併用することになり、情報の分散や漏れが発生、現場の作業は二度手間になって効率が低下し、結果本来のDXまでたどり着けない。