自分の感情をコントロールすることは、リーダーに求められる重要なスキルである。感情に名前をつけてその内容を把握すること──心理学者はこれをラベリングと呼ぶ──は、感情とうまく付き合うための重要な第一歩となる。だが、これが意外と難しく、自分の気持ちを正確に把握することに苦労している人が多い。最も自然で当然と思えるラベルが、実はまったく的外れのことも少なくない。
難しいのには理由がある。まず、私たちは強い感情は抑制すべきだと教えられて育ったし、あからさまに表現してはいけないという社会的・組織的なルールに縛られている(それが暗黙の了解になっている場面や状況もある)。また、自分の感情を正確に表現するための言葉を知らないというのも理由の一つだ。
次の2人の例を考えてみよう。