社会や組織における
従来の想定が当てはまらない

 仮の話としてたとえば工場が存在しなかった場合、我々が生きる工業化社会はどのような姿になるのか、想像するのは難しい。モノはどのように生産され、事業はどう存続するのだろうか。

 いや、それどころか、我々は工業化社会に生きているのだろうか。シリコンチップの恩恵によって在宅勤務の効率が上がり、通勤の必要がなくなった省エネルギー社会において、工場は主な生産の場なのだろうか。省エネと女性の職場進出が将来の組織に及ぼす影響を、誰が知るというのか。

 本稿の筆者、チャールズ・ハンディの見解では、ただ一つ確かなのは、明日何が起きようとも、今日の想定ではおそらくそれを説明できないということである。つまり、社会や組織における従来の想定が、もはや必ずしも当てはまらないような、非連続的な変化の時代が始まりつつあるのだ。