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未来は小さなアイデアによって形成されていく
長期計画は、大企業のためだけのものだろうか。またこれは、将来を予測し、そこから予見される動向に沿って組織を動かすことだろうか。
多くの経営者たちの行動から判断するに、どちらの問いもイエスと答えるのではないだろうか。しかしこれは間違っている。いずれも正解はノーなのである。
未来を予知することはできない。未来について唯一確実なのは、それは現在の延長線上に存在するのではなく、現在とは別のものであるということだ。未来はまだ生まれていないばかりか、形成されてもおらず、また確定もしていない。
しかし未来は、目的を持った行動によって形成されうる。そして、このような行動の原動力となるのはただ一つ「アイデア」である。それも、異なる経済や技術、あるいは他社が開発した他の市場に関するアイデアである。
アイデアは常に小さく生まれる。これが、長期計画が大企業のためだけのものではないゆえんである。だからこそ、未来をかたちづくるうえで、実は小企業のほうに利があるともいえるのである。
新しいものや従来とは異なるものは、金銭面から判断すれば、概してささいで取るに足らないように見える。そのため、大企業の巨大な既存事業の前では卑小な存在として影が薄くなりやすい。
実際、新たなアイデアが数年後にもたらしうる売上高は、大成功を収めたとしても数百万ドル程度にしかならない。大企業の既存事業がもたらす数億ドルの売上高に比べればあまりにも貧弱に見える。その結果、往々にして無視されてしまう。
しかも、新しいものはたいてい、かなりの努力を要する。したがって、大企業より小企業のほうが、未知なる取り組みには意欲的な場合が多い。