迅速な協働を可能にする
デジタルプラットフォーム
2020年2月初め、中国が新型コロナウイルス感染症の第1波に立ち向かっていた時のことである。同国を拠点とする世界屈指の家電メーカーであるハイアールグループは、課題と機会に直面した。同社の顧客で中国のインテリア用品メーカーであるヘジ・ホームが、新型コロナウイルス感染症のアウトブレイクが最初に発生した武漢の病院に、移動式隔離ユニットを寄付したいと考え、その生産支援を求めてきたのだ。
このようなユニットには、新鮮な空気の確保、殺菌、汚水処理の仕組みに関して、厳しい医療基準を満たすことが要求される。両社とも、過去にそのような設備の製造経験はなかった。また、どちらかが単独で、これを実現できる設計リソースやサプライチェーンのケイパビリティも持っていなかった。
そこで両社は手を組み、パンデミックによるロックダウン(都市封鎖)が拡大し、企業が休業する春節と重なったにもかかわらず、2週間後には実用レベルの試作品をつくり上げて、同病院に提供した。そして、すぐに完成版の生産を開始し、数週間のうちに現地の病院に追加のユニットを提供した。