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知識労働にも「ムダ」がある
トヨタ生産方式(TPS)は、ヘンリー・フォードがベルト・コンベアーによって〈T型フォード〉を大量生産して以来、オペレーション分野において最も重要な発明といえるだろう。
TPSから発展して、業務改善のためのアプローチが数多生み出されたが、その原則はいずれも同じものである。すなわち、細部にこだわること、データに基づいた実験を徹底すること、作業者は担当業務の効率性の向上と無駄の排除にたえず取り組むことであった。この考え方は、「リーン(贅肉のない)生産方式」と呼ばれることが多い。今日、ほとんどのメーカー、そして一部のサービス業がそのメリットにあずかっている。
しかし、リーン生産方式の原則を知識労働に導入しようとすると、どうにもうまくいかないというのが通説である。産業界のほとんどの人たちが、自動車の組み立てと違い、知識労働は反復作業ではなく、曖昧さを排除して定義することなど不可能であり、したがってリーン生産方式は向いていないと考えている。