少しでも組織をよくする行動を生み出す一助となりたい
編集部(以下色文字):『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)が100周年を迎えました。HBRは教授にとってどのような存在でしたか。
コッター(以下略):HBRは私の人生にとってかけがえのないものです。寄稿した最初の論文では、一緒に仕事をしてくれた編集者からたくさんのサポートと励ましをもらいました。彼女は素晴らしかったです。HBRは毎年、最優秀論文をマッキンゼー賞に選出しており、1位(金賞)と2位(銀賞)が誌上で発表されるわけですが、ある日、彼女がオフィスにやって来て、私の論文が実は3位に入っていたと教えてくれたのです。本当に嬉しかったです。早い段階で自信とフィードバックをもらえたことは、喜ばしいだけでなく、心の支えとなりました。
やがてHBRでの発表は、研究や思考の成果を米国内外の大勢の人々に伝える格好の機会となりました。15~20年ほど前に、編集者たちに「私の論文の抜き刷りは何部売れたのですか」と聞いたことがあります。HBRでは時々古典という打ち出しで過去の論文をパッケージして販売することがあるのですが、その手のイレギュラーな形態で発売されたものは手作業でカウントするしかなく、集計が大変だったそうです。