企業は従業員のダイバーシティ向上を目指す際、ウェブサイトや採用情報ページ、記事やブログなどで、その取り組みの重要性を説明するのが一般的だ。数千人が参加した一連の研究で、そのように正当性を主張すると、往々にして自分の首を締める結果になることが明らかになった。

 研究者らはまず、フォーチュン500のダイバーシティに関するステートメントの分析から始めた。多くの企業(約80%)がダイバーシティのビジネスケース、すなわちダイバーシティが組織の業績にもたらす潜在的な利益を挙げ、1~5%が公正について訴え、残りは正当性について何も触れていなかった。

 その後の5つの実験では、被験者に架空の企業のダイバーシティに関するさまざまなステートメントを読ませ、その会社への帰属意識と入社意欲を回答してもらった。すると、LGBTQ+の専門職者、アフリカ系米国人、STEM(科学、技術、工学、数学)分野で仕事を探している女性など、過小評価グループのすべての被験者が、ビジネスケースを読むと企業に期待する帰属意識も、そこで働く意欲も低下した。