ワークライフバランスがもたらす効果

 ワークライフバランスを後押しする企業プログラムは、生産性を高め、離職率を抑え、従業員の心身の健康を改善する。それはよく知られていることだ。しかし筆者らの調査では、もう一つの効用が明らかになった。それは組織の多様性が増すということである。実際、マネジャーの多様性の向上という点では、最も普及しているエクイティ(公平性)改善のプログラムよりも効果的である。

 ワークライフバランスに関する各種イニシアティブが労働力管理に及ぼす影響を評価するために、筆者らは800を超える米国企業の30年以上のデータを調査し、数十人のマネジャーの話を聞いた。すると家族休暇、柔軟な勤務スケジュール、育児支援に関する全社的な施策がある企業では、黒人、ヒスパニック、アジア系米国人の男女のマネジャーの比率、そして白人女性マネジャーの比率が大幅に高まることがわかった。

 ワークライフバランス支援によって、これらの集団にそれほど大きな恩恵があるのはなぜだろうか。それは彼らが最も深刻なワークライフバランスの課題を抱えているからだ。たとえば女性や有色人種の人々は、白人男性と比べて一人親の比率が高い。黒人世帯ではシングルマザーの割合が41%、ヒスパニックでは25%、白人では13%、アジア系では11%である。シングルファーザーの割合は黒人とヒスパニックで12%、白人とアジア系で7%である。