急速に発展しつつある宇宙市場
2000年代初頭、米国のスペースシャトル計画が段階的に縮小されると、米国政府の宇宙政策は、航空宇宙局(NASA)と国防総省経由で全資金を供給し意思決定するモデルから脱却し、その代わりに、民間企業が公共部門の契約をめぐって競争するようになった。たとえば、商業軌道輸送サービス(COTS)計画とそれに引き続く計画では、国際宇宙ステーションへの補給サービスに関して、宇宙分野で一般的に用いられるコストプラス契約ではなく、固定価格契約を民間企業と結んでいる。
こうした変化は、ブルーオリジン、シエラスペース、スペースXをはじめとするロケット打ち上げ企業の成長を促した。各社は過去数十年にわたって進歩してきたマイクロエレクトロニクスとコンピューティング分野の技術を活用して、人工衛星を小型化、軽量化、高性能化することにより、(最も一般的な積載量の)人工衛星の打ち上げコストを低減させてきた。
現在、スペースXのファルコンヘビーを使った衛星打ち上げコストは、民間企業が競争に呼ばれなかった2000年以前の8%未満だ。また、スペースXの次世代宇宙船「スターシップ」の打ち上げコストは数百万ドル規模が見込まれる。最大積載量を150トンとすると、1キログラム当たりコストは100ドル未満になりそうだ。