共通商品(commodity)といったものは存在しない。商品やサービスは例外なく差別化できる。このことは生産財よりも消費財について言えるというのが常識であるけれども、逆の場合もある。

 現実の市場は、至るところ差別化ばかりである。市場に登場するすべての人――生産者、組立業者、販売業者、ブローカー、エージェント、小売商人――は、いつも、自分の売りものを自分以外の業者の売りものと区別させる努力をつづけている。このことは、鉱石、穀物、化学製品、プラスチックを生産したり、貨幣を取り扱ったりする人についても言えるのである。

 消費財、生産財を組立て製造する業者は、競争相手との違いが強調できる製品特徴を探している――あからさまにまた仰々しく独自性を主張する場合もあれば、化粧品に見られるようなイメージで勝負することもあるし、競争製品と違った効果や価値を約束する製品特性をはっきりと、また暗示的に美しい言葉で訴求したりもする。