ヘンリー・ミンツバーグは、マネジャーたちが自分の仕事の中で実際にどのような行動をしているかについての研究の中で、次のような観察を行なっている。「私は研究を進めるうちに、観察を続けた経営者たち――皆、どのような基準に照らしても、実に有能な人びとであるが――基本的には、100年前の(それどころか、この件に関しては1000年前の)彼らの同類とまったく同じであるという事実を発見し、驚かされた。彼らが必要とする情報は異なっている。にもかかわらず、彼らは、その情報をまったく同じ方法――口頭の言葉――によって得ているのである[原注1]」。

 企業経営にコンピュータ・グラフィクス技術が応用される例が増えるとともに、この言葉は現実性を失いつつある。今ではマネジャーの中には、画像によって情報を得ているものがあるからである。

 コンピュータ・グラフィクス(コンピュータによる図形処理)の技術は、最近10年間で、きわめて利用しやすくなってきているが、その技術を役立てるために必要な多大な時間と資金を積極的に投じようとしたのは、ほんの数社しかなかった[原注2]。しかしながら最近では、ハードウェアおよびソフトウェアのコストが低下し、コンピュータ用のグラフィク・ディスプレイを商業生産するサービス組織を利用できるようになったこともあり、ますます多くの企業が、コンピュータ・グラフィクスの価値を認識し始めている。さらに、10年前に科学技術の分野で利用していた技術者とは異なって、今では経営上のよりよい意思決定を行なうために、コンピュータ・グラフィクスを利用するマネジャーが、ますます多くなってきている。