世界のフィールドを見渡せる人材
Toney ファーストリテイリングは、「情報製造小売業」というビジョンを掲げておられます。さらなる進化に向けたデジタルトランスフォーメーションを推進していくうえで、今後の課題をどのようにとらえていますか。
丹原 人材獲得はまさに課題です。ファーストリテイリングのビジネスは、いまや日本国内より海外のほうが大きくなりました。「LifeWear」、つまり人々の生活ニーズを考え抜いた究極の普段着を世界中のお客様に提供しようとする時、日本の感性だけでそれに向き合うことにはやはり限界があります。
2022年9月、東京に加えてニューヨークにもグローバルヘッドクォーター(本部)を立ち上げたのは、世界のお客様に向き合える体制を整えるためです。ここからグローバルな新しいビジネスの仕組みを、東京本部と一体となってつくっていく。その人材が必要です。
ITやデジタルに関して言うと、やはりAI(人工知能)の専門人材はまだまだ足りません。サプライチェーンマネジメントに精通している人材も、コロナ禍を経ていっそう重要になりました。私たちのミッションは商品の企画から顧客接点まで一貫した業務、一気通貫のシステムをつくっていくことですから、ビジネスの全体像をとらえて、グローバルワンのシステムとして全体を設計できるアーキテクト人材も必要です。
単に自分の専門性を伸ばしたいとか、プログラミングだけやっていたいという人は、当社の価値観と合わないと思います。最初から「ユニクロが大好き」という必要はありませんが、お客様に向き合いながら仕事をしていきたいという人が仲間になってほしいと思っています。
IT・デジタル技術を活かした変革を推進するうえでは、やはりデータが肝になります。サプライチェーンを最適化するにしても、AIをフル活用するにも、正しいデータを集めて一元化し、それをビジネスと一致させられるかが重要になります。その際、データを正しく集めるためのオペレーションの改善も必要です。それは当社だけではできません。サプライチェーンのパートナーも含めて、正しいデータを適切なタイミングで収集できるプラットフォームを構築できれば、ビジネス成長の可能性を大きく広げられます。
Toney 常に「ゼロからの変革」を推進する集団であるファーストリテイリングと伴走する外部パートナーには、どんな資質や要件を求めていますか。またそうしたパートナーとともに、今後どのように変革を進めていきたいですか。
丹原 私たちは「挑戦するDNA」を持ち、常に「顧客起点」であろうとする会社なので、まずパートナーにもその思いや考えに共感してほしいという希望があります。また、パートナーシップを組むからには、浅い付き合いではなく、太く長い付き合いを前提としたいです。そういった観点からも、経営トップからは「その分野で世界一の会社と付き合え」といわれてきました。まさに、RFIDの導入当初から約10年にわたって伴走してくれているAvery Dennisonのようなパートナーが、今後も増えていくことを願っています。
情報製造小売業という新しいビジネスモデルは、当社だけで実現できるものではありません。私たちにはないアイデアや技術を持つさまざまなパートナーとチーム一丸となって、その実現を目指していきます。
Toney イノベーションを積極的に推進するファーストリテイリングから刺激を受けて、私たちも成長することができました。長い間、チームとして一緒にやってこられたことは名誉であり、また楽しいことでした。これからもファーストリテイリングが目指す未来に向かって、ともに走り続けたいです。
Avery Dennison
URL:https://rfid.averydennison.jp/
PHOTOGRAPHER : GION