よく知られたマーケティング戦略では、9.99ドル、79.95ドル、39万9990ドルのように、切りのいい数字より少し低い価格が設定される。消費者が数セントまたは数ドル高い価格よりも割安に感じる傾向があるためだ。しかし新たな研究で、重要な例外が明らかになった。顧客単価を上げるアップセルが目的の場合は、基本の製品の価格を切りのいい数字か、それより少し高く設定すると、よりよい結果が得られるという。
研究者らは大学構内にコーヒースタンドを設置し、2日間でコーヒーのスモールサイズとラージサイズの価格を変えた。通りがかりの人が目にする価格は、基本のスモールサイズ95セントとアップグレードのラージサイズ1.20ドルか、1ドルと1.25ドルだった。前者の価格の組み合わせを見てラージサイズを購入したのは、わずか29%だったのに対し、後者の場合、56%がラージサイズを購入した。
ミキサー、車、ストリーミングサービスなどを使った6つの実験でも同様の結果が得られた。研究者らは「基本製品の価格を切りのいい数字より少し低く設定すると、基本製品とアップグレード製品が異なる心理的カテゴリーに分離される」とし、「アップグレード製品がより高価に感じられる」と説明する。