組織構造はこのところ、ますます短命かつ不安定になっている。
いまでも相変わらず教科書の中で手本になっている1920年代、30年代の“古典的な”組織構造は、たまに修正を加えるだけで、それこそ何十年にもわたり長持ちをしたものである。AT&T(American Telephone & Telegraph)、ゼネラル・モーターズ、デュポン、ユニリーバ、シアーズ・ローバック社などは、経営陣が何度か代替わりしたり、事業の量や規模が大幅に変わったりしても、それぞれ、組織上の独自の概念や構造や基本要素をその間ずっと維持していたものである。ところが、今日ではどの企業も、組織替えの大仕事を終えたか、終えないかのうちに次の組織替えに取りかかるといったありさまである。
例えば、ゼネラル・エレクトリックは、1960年前後に、ほぼ10年にわたる懸命な努力の末にやっと大大的な組織の整備を済ませたというのに、その後今日に至るまでに少なくとも2度にわたって、その組織構造と全般的な戦略を変更している。同様に、イギリスのインペリアル・ケミカルも、作成してからまだ10年とたっていないその組織設計を、早くも変更しようとしている。アメリカの大手商業銀行、IBM、政府機関も同じような不安定な状態に陥っており、例えば連邦保健・教育・福祉省などは、その20年の歴史を通じてほぼ毎年、“最後の”組織替えを余儀なくされている。